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「…………無概君?」
「は……い、分かってますよ要さん」
要の放つ渾身の一撃に、思わず肺の空気を大幅に消失してしまった。
口からは、絶えず酸素を求め連続的に呼吸を繰り返す。
「今のは、このか弱い私が少し怖くて震えるのを気遣い、冗談を言った……事にしてあげる」
明らかに怒った表情で無概を睨み付けた要は、再び死にかけの無概の背中に隠れ、こっそりと目の前のストーカー野郎を覗き込む。
そんな要を一瞥し、無概ははゆっくりと息を吐いた。 どうやら震えはなくなったようだ。
「その拳があるなら、あんな奴倒せるだろうに」
「…………何かな? 無概君?」
「いや、何も言ってねぇよ」
「そう、それより無概君。 さっき言った打ち合わせ通りお願いね?」
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