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勿論の事、田中をひっぱたいたのは要だった。
「最低だよ田中君、人をそこまで馬鹿にして、どうしてそんなに嬉しそうにいられるのかな? 私はその事が酷く憤慨だよ」
まさか平和主義の要が暴力を振るった事に少々驚いた。
当たり前のように自分に意味不明な怒りをぶつけるストーカーに対し、後ろに隠れていた要が、背中からストーカーの目の前へといきなり飛び出していたのだ。
「あ、あれれ? おおおかしいな、何で助けようとした僕が 要さんに たた、叩かれているんだよ!?
畜生、畜生 意味が分からないよ」
ぶつぶつと呟く田中、叩かれた衝撃で地面に落下した鞄に手を伸ばし何かを取りだそうとする。
そのおかしな様子を見て、無概は一つの予感が頭に走り、目の前で目尻に涙を浮かべ、田中を睨み付ける要の手を掴み引き寄せると、一歩後ろへと下がらせた。
「ち、ちょっと無概君どうしたの急に!?」
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