第一章~私の存在理由~

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痛みの為、視界は零に等しい。それでも、一歩づつ前へ前へと足を進めた。静かな教室内に私の足音だけが微かに伝わってくる。 彼女達は、相変わらず沈黙しているようだった。私の叫び通じたのかな? これで私に対する空気にも似た扱いを止めてくれたらいいんだけど。あの二人だけでも……。心からそう願うよ。 そんな淡い願いを心に抱きながら一歩、又一歩と足を前へと進めた。 「……ねぇ、真希。アタシ今すげー、ムカついたんだけど!!」 「やっぱ香奈恵もムカついたんだ。アタシも同じだよ!!本当に煩い虫だよねぇ。昆虫の分際で、アタシ達人間に説教するなんてさ」 そう思った矢先の出来事だった。私の淡い願いも二人の会話で見事なまでに打ち砕かれた。二人の会話に身の危機を感じたが、逃げようにも目が見えずまともに歩く事すらできないでいた。
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