第一章~私の存在理由~

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逃げなきゃ…… 逃げなきゃ殺される。私は、何も悪くないのにさ。そんな叫びなど今の彼女達には届くはずもない。二人から必死に逃げようとするがそれも虚しく直ぐに捕まった。 「何すんのさ!!離してよ……」 二人のどちらかが私の体を押さえつけた。目の痛みもあり振り解こうとするがそれも出来ない状況だ。 「バイバ~イ。この汚い昆虫女」 目は見えないが声だけは聞き取れる。この声は香奈恵だ。次の瞬間、頭に強い衝撃が走り二人の声が遠くなっていく。 「……昆虫も、血だけは、赤いんだね……」 「キャ……ハハ…ハ…」 その言葉を最後に二人の声は聞こえなくなった。私は、意識を失った。
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