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いっそ、このまま早退しようか……。そうすれば、クラスメート全員の顔を見なくてすむ。それに後3日もすれば長い長い夏休みに入る。
休んでしまえばどんなに気が楽だろう……。しかし、母親に余計な心配は掛けたくない。家に帰れば毎日のように助けを求めたくなるが、それもせず必死に我慢してきたのが現実だ。
……戻るしか
戻るしかないよな、地獄のような現実世界に……。
そこに北澤紗英という存在はない。あるのは昆虫女というレッテルを貼られた薄汚いメス虫が一匹いるだけだ。
逃げ出したい気持ちはあったが、私はそれに負けまいと力無く教室に向かって歩き出した。
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