~悪魔のベル~

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そんな夢物語有るわけないのに、ついつい頭の中で妄想してしまう。私は、所詮名前を持たない昆虫女。 もう時期、授業も終わる。妄想にゆっくり浸る暇もない。授業が終われば、口封じの為に真っ先に私の元へ駆け寄ってくるだろう。暴力、脅迫、或は掃除道具入れに監禁されるかもしれない。 だけど…… そんな行為をされても今の私はそれを否定したりしないんだろうな。だって、その行為は北沢紗英であるという証明なんだ。 家を飛び出し学校へ登校した瞬間、私は空気になる。空気は誰も気づいてくれない。 暴力、脅迫、監禁、その行為に比べたら無視の方がどんなに辛いか……。 授業を終えるチャイムが教室内に響き渡る。周囲に視線を送れば欠伸をしてる生徒、馬鹿みたいに明るく喋る生徒……。 そんな周囲の様子を目にすると、自然に涙が溢れ出した。それが悔し涙なのか、嬉し涙なのか今の私には理解する事ができなかった。
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