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私の涙をクラスメートの一人でも良いから受け止めて欲しい。
泣いてる理由なんて、自分でも分からない。嬉しいのか、悲しいのか分からない……。
どんな卑劣な事だって受け止める。一秒でも早く私の元へ駆け付けて欲しい。私は、空気じゃない。昆虫女でもない。
北沢紗英という一人の人間なんだ。
時間と共に涙の量も増していく。ふと机上に目をやると、死ねと深く刻まれた部分に涙溜りができ溢れていた。
「フッ……」
そんな光景を目にし思わず吹き出してしまった。時間が経過する分だけ涙も比例していく。止まる事のない涙……。
暴力、監禁、何だって良い。誰でも良いからこの涙を止めて欲しい。しかし、そんな願いも虚しく散った。今朝暴力をふるった当事者達でさえ私の元へ駆け寄ってこなかった。
四時限目が終わればランチタイムだ。私の元へは、日々と変わらない馬鹿みたいな黄色い声が届く。そんな雑音を、瞬き一つすることなく聞いていた。
地図にも載っていない無人島、そんな言葉だけが私の頭の中をグルグルと回っている。
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