~悪魔のベル~

11/14
前へ
/263ページ
次へ
必死に助けを求め叫んでも、声は鬱蒼と生える木々に掻き消されてしまう。返ってくる言葉は何一つ無い。そんな寂しい無人島に今の私は居る。 もう、限界だった。 どんなに必死に叫んでも返ってくる事の無い声、希望も期待も持てない。今日という日が早く過ぎればと、心の中で願い続けた。 涙も枯れた私は、力無く席を立ち教室を後にし、屋上へと向かった。到着するなり、壁に設置された梯子を上り仰向けになるといつもの様に空を眺めた。 此処は、唯一心が休まる場所。心に限界が来る度決まって訪れる。この場所は、学校の中で一番高い位置にある。私の存在と反比例する空間だ。だからこそ、安らぎの場所として足を運ぶのだろう。 天高く澄んだ空を見つめていると、先程までの嫌な出来事が嘘だったかの様に感じられた。 昆虫女で空気。私はいつからイジメを受けているのだろうか。そんな大事な事さえ思い出せない。原因なんて考えたって見当たらない。 此処にいると、そんな病んだ気持ちも自然と浄化される。私にとって最高の居場所なんだ。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

481人が本棚に入れています
本棚に追加