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こんな惨めな私にだって夢はある。大学に進学して、大好きな彼氏を作り、楽しいキャンパスライフを送る事だ。欲をいえば、その相手と結婚し幸せな家庭を築く事。
嫌な事が消えると、自然と妄想が膨らんでいく。
この一時が私の唯一の楽しみなんだ。この時間があるからこそ、こんな地獄の様な学園生活を耐え凌ぐ事が出来ている。
しかし――
その楽しい一時も、悪魔のベルが鳴れば現実へと連れ戻されてしまう。私は、力無く起き上がると深く溜息を付き梯子をゆっくり降りた。
居場所の無い教室に戻ると、吸い込まれる様に席へ着いた。
死ねと刻まれた机上の掘り傷に視線を送ると、新たにメッセージが深々と刻まれている事に気付いた。
ブス
根暗
昆虫女
汚染物……
その掘り傷は、机上全体に余すところなく広がっていた。この卑劣なメッセージは、間違いなくあの二人からのモノだ。
その掘り傷を目にすると同時に、馬鹿みたいな笑い声が耳に付いた。笑い声の方に視線を送ると、汚い害虫を見るかの様な視線で二人は私を見つめていた。
二人はこんな低俗なやり方で、私が傷付つくとでも思っているのだろうか?
だとしたら、笑える話だ。
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