~貞子とチェンメ~

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どのような出題がされるかは、正直分からない……。しかし、こんな時期にある抜き打ちなど、一学期の内容以外考えられない。プラスアルファはあったとしてもだ。 愚痴を零していたのは、この夏休み男にかまけていた連中だ。自分で言うのも笑内話だが、元々頭の悪い方ではない。 夏休みに努力した結果を上手い事出せれば、トップ5だって狙えるかもしれない。そうすれば、良い意味で名前を売る事が出来、優越感に浸る事が出来る。 クラスの愚痴は止まることなく、更に拍車が掛かっていく。それを諌めようと、担任は当たり障りのない言葉だけを放ち教室を退席した。 担任が退席した途端、教室内は一部の生徒を除き炎上していた。そんな様子を窓際の席から目の当たりにし、心の中で樮笑み、早く試験が始まれば良いと心踊らせた。 「ねぇねぇ、咲。あれ見てよ。害虫が笑ってるんだけど。マジ、キモい……」 「うわっ!!頭でも打っておかしくなったのかなぁ?マジで貞子に見えてきた」 余りの嬉しさに、心の内にだけ留めていた思いが、自然と顔に表れたんだろうか。一部の生徒が炎上した心を鎮めるかのように、私を指さし中傷し始めた。 そんな中傷をされたからといって、顔色一つ変える事無く何の抵抗も示さなかった。こんな事は、日常茶飯事で慣れきっている……。
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