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ブルータス少尉は、辺りを見渡しながら口を開いた
「今から例の情報士官を捕捉する。
名はシュトッツ・ディートリッヒ。
階級は大尉だ」
頷く俺を見ながら、少尉は更に続けた
「シュトッツ・ディートリッヒ
1912年生まれの三十二歳。
1932年。
20歳になった彼は、戦闘機パイロットを志し、リュフトヴァッフェに入隊。
しかし、パイロットの適性試験ではじかれた彼は、地上要員の中でも興味の湧いた情報・レーダー機器の要員として、ドイツ第三帝国軍人としての一歩を歩き始めた。
フランス戦の後に諜報員に転身し、オットー・スコルツェニーの様な、大物軍人との面識もあるらしい。
そして今は、ナチスドイツの兵器開発部で、秘密兵器の開発と実用化に奔走している。
これが今現在、俺達が掴んでいる情報だ。
とにかく、それなりの大物軍人だという訳だ。
ちなみに、妻子は無く独り身だ」
俺は、いきなりの説明に驚きながらも、今から捕捉する軍人について聞けた事に感謝もした。
独り身の諜報員。
そしてナチスドイツの秘密兵器開発に携わる軍人。
ヤバい匂いがプンプンする軍人様を、俺達は捕捉し、身柄を確保しなくてはならない。
またオカシナ事になってきた。
俺達をシェルブールに転進させたのも、シェルブール市街地に入ってから反撃を受けないのも、なんとなく納得出来る。
転進させたのはコノ軍人を確保させる為。
機甲部隊を伴った大規模な反撃を受けないのは、主力部隊が敵を釘付けにしてくれてるお陰だろう。
とにかく。
俺達はシュトッツ・ディートリッヒ大尉を無傷で捕獲し、上層部の連中にシュトッツ・ディートリッヒ大尉を無事送り届ける。
それだけだった。
ついてるのかついてないのか。
シェルブールは忘れられない街になりそうだ。
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