情報士官 シュトッツ・ディートリッヒ

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ブルータス少尉が隊員達に隊列を組ませ、その二列縦隊の中を俺達は走り始めた 「しかし敵の士官を捕虜にするなんて任務は初めてですよ」 ミシェルの言葉に、BARを構えながら走るブラッドリーが言葉を返した 「とんだスナフ作戦だ。 敵一人を無傷で捕らえる為に、わざわざ一個中隊がサン・ロー方面から転戦だからな。 まぁそれなりに、やってやろうぜミシェル坊」 ブラッドリーはミシェルの肩を叩き、BARを構えながら走り続けた。 スナフとは‘いつも通りすべてメチャクチャ’といった意味の俗語である。 まさに今現在の俺達が従事している作戦にピッタリだった 「不死身のモーリスの幸運に期待しようぜ」 ブルータス少尉の率いる隊列を抜け、破壊され尽くしたシェルブール市街地を抜けようとした時、ドーマンの言葉が俺達に笑みをくれた 「しかし良く死なないもんだよな。 機銃掃射の次は75mm砲だ。 お前バカだろ?」 ミシェルの言葉に、モーリスはヘルメットを掻きながら言葉を返す 「バカは言い過ぎだけど、まぁ近いモノはあるかもな」 モーリスの言葉に、俺達は声を押し殺しながら笑った。 制圧されつつある市街地に比べ、俺達が今から向かう港湾施設には、未だに多くのドイツ兵達が犇めいているのだ。 大声で笑えば、それだけで狙撃や機銃掃射の標的になる。 だが、その状況下で笑える俺達は、そんな状況に慣れてしまったのかもしれない 「ミシェル。 モーリスと一緒に警戒を頼む」 俺はミシェルに指示を出しながら、足元にあるドイツ兵の死体に目をやった 「いただけよフランク。 敵さんの物でも役に立つ筈だぜ?」 ドーマンの言葉で、俺はドイツ兵の死体から双眼鏡を拾い上げた。 首が不気味な音を立てながら、双眼鏡の紐が首から外れ、ドイツ兵の死体は再び大地に横たわる 「第二小隊の連中は独自に先行するらしい。 ドーマン。 無線で第二小隊に呼び掛けろ。 距離を空けすぎるなってな」 戦利品の双眼鏡は、本当に役に立ってくれた。 右翼を進む第二小隊の姿が、目の前に居る位ハッキリ見えたのだから。
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