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俺は見るに耐えなくなり、呻き声をあげながらグッタリするドイツ兵達に、トンプソンでトドメを刺してやった。
動かなくなったドイツ兵達を見て、込み上げて来る罪悪感と後悔の念。
だがそんな中で、ブラッドリーはドイツ兵の死体から戦利品を漁り始めたのだ
「お前…
よく戦利品探しなんて出来るな…!」
ドーマンの言葉に、俺も激しく同意した。
この血にまみれた悲惨な惨状で、のうのうと戦利品を漁り続けるブラッドリー。
絶対にどうかしてると思った。
戦場という劣悪で悲惨な環境下で、遂にブラッドリーは狂ったのだと思った。
しかし、ブラッドリーの言葉で、俺もドーマンも何も言えなくなった
「今自分が生きてる証を探すのが、そんなにオカシイ事か?
戦利品を漁れるのも、今俺っていう人間が生きてる証だろ?」
ブラッドリーの言葉に、俺は言葉が出なかった。
ブラッドリーの言う事にも一理あるのだ。
今自分が生きている証。
それが戦利品探しという行動にあるとすれば、俺達にブラッドリーを批判や非難する権利はない
「手短にやれ。
敵士官の捕獲が優先だからな」
ブライアン大尉の言葉に、俺達は静かに頷くしかなかった。
ブラッドリーは、ドイツ兵の死体からワルサーを手に入れ、上機嫌の様子でBARを構え直した
「よし。
行くぞブラッドリー。
後でそのワルサーを見せてくれよ?」
俺の言葉に、ブラッドリーは笑みを浮かべながら返事をする。
そんなブラッドリーの様子を見て、戦利品探しに一々口を出すのは止めにしようと思った。
ブラッドリーの言葉は、数多の兵士達の代弁。
俺は、心からそう感じたからだ。
俺もトンプソンを構え直し、ゴーサインを出すブライアン大尉の背中を追った。
シェルブール攻略作戦と、シュトッツ・ディートリッヒ大尉の捕獲任務。
この一連の作戦は、俺に新しいモノを気付かせてくれた気がした。
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