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1944年
6月30日
この日、シェルブール防衛部隊の司令官が降伏した。
これにより、遂にシェルブールは陥落したのだ。
だが破壊され尽くした港湾施設は、俺達の心以上にボロボロだった。
修復には1ヶ月、もしくはソレ以上かかるだろう。
港湾施設を手に入れる為のシェルブール攻略は、局地的・戦術的にはドイツ軍に勝利出来たが、目標の港湾施設は既にドイツ軍の手により破壊されており、連合軍は戦略的には敗北したと言えよう。
やはり暫くは、ビーチからの赤玉特急に頼る他ないらしい。
だが肝心の赤玉特急も、サン・ロー、シェルブール、カーンなど、急速かつ広範囲に及ぶ地域に広がった戦線に、絶えず補給を行き渡らせるには、既に限界が近付いていた。
なんとしてもシェルブールは押さえたかった。
水や食糧。
ガソリンなどの燃料。
更に酷くなって弾も無くなれば、戦いを継続する事が出来なくなる。
それこそ広がりきった各戦線で、ドイツ軍による一方的な虐殺が始まりかねない事態となる。
シェルブールがダメなら一刻も早く、他の港湾施設を確保するしかない。
既に、爆発的に広がった戦線をカバーするには、連合軍の兵站能力にも限界を露呈させつつあった。
弾が無い。
水や食糧が無い。
補充されるべき兵士すら居ない。
シェルブール港の確保に失敗した事実は、西部戦線を形成する兵士達に暗雲を立ち込めさせた。
オマハビーチからの補給に頼る他ない事実は、いずれ訪れるだろう膠着状態をあらわしていた………。
達成感と不安。
それがシェルブール陥落時の正直な感想だった………。
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