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1944年
6月6日
ノルマンディー沿岸
激しい波のうねりに身を寄せあい、俺達はフランス(ノルマンディー)を目指していた。
俺はフランク。
フランク・デイビッド軍曹だ。
今俺達は、沖合の艦隊から発進した揚陸艇で、自称優秀民族様が守るノルマンディー目指して船に鮨詰め状態。
正直ふざけるなと言いたい気分だが、鼻息を荒くしている部下達の顔を見るとそんな事も言えないものだ
「フランク!
おいフランク!」
今度はなんだ?
発進前に小便ひっとけって言ったよな?
それとも酔い止め薬を飲み忘れたか?
俺はその声に仕方なく返事をした
「なんだよドーマン!
もう小便ちびりそうか!?」
俺の声に、通信機を背負った伍長が手を振って応えた
「小便ならこれでもかって位にしてきたよ!
マクドネルが煙草を海に落としちまったらしい!
このままオマハに上陸したら、一番最初の任務がマクドネルのタバコを主計の連中から分捕る事になっちまう!
お前のタバコ分けてくれよ!」
こいつはドーマン。
俺の幼なじみで親友だ。
俺達はサウスダコタの生まれなんだが、それ以外はアメリカ各地からの寄せ集めだ。
そんな寄せ集め連中だが、俺はコイツらを一番信頼している。
地獄の様に厳しい訓練も、寝床も飯の釜も共にしたのだ。
寝相が一番悪い奴が誰なのかも知っている。
俺はポケットからタバコを取り出すと、箱のままドーマンに投げ渡した
「お前も好きなラッキーストライクだ!
後でちゃんと返せよな!」
ドーマンはタバコをキャッチすると、ピースしながらマクドネルにタバコを分ける。
マクドネルは良い奴だ。
ドーマンとよく連んで居る。
その為か、訓練や私生活への態度が日々ドーマンそっくりになってきた。
他の連中も、激しい波飛沫に揺れ動く揚陸艇の中で、タバコやガムを嗜みながらノルマンディーを目指している。
俺達が攻撃するのは大西洋の壁と呼ばれるドイツの占領地域だ。
沿岸にはドイツの88mm砲や105mm砲が照準をあわせている。
激戦が予想されているが、俺達はその死地に赴かなきゃいけない。
ホントにフーバーな任務だ。
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