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女だけど男です…
夢を見てた気がする…何だか悲しい夢だった気がするな…。
まぁ…とりあえず、今私のやるべき事は一つだ。
『きぃぃやぁぁあぁ!』
私は叫びながら目の前の汚わしい顔に一発ビンタを食らわす!
ビシ!バシ!こきゅっ?
『おぶち!』
見事に私のコンボが決まった…今日も体調は絶好調の様で一安心だ。
『お・お前…んな女の子みたいな悲鳴あげんなよ!冗談だろ、かる~い朝の挨拶だろうよ』
『ウルサイ!今オレに何しようとしてたん?言え!言うのダ!』
『いやいや、あれですよ、他国では《もーにんぐきっす》とやらがあるらしいですよ!?』
はぁ…全く…コイツときたら…朝はイロイロと準備で忙しいっていうのに…。
『さぁさぁっ!恥ずかしがらずに…同じ男同士ではないか~』
ちょ、ちょっと!それ以上はマジで…!というか今のセリフは人としてどーなん!?
『透…頼むから、冗談でも止めてよね?流石に怒るよ??』
私は懐に忍ばせておいた脇差を抜こうとした。
これには流石に諦めたようだ。
…やれやれ、この変態様の名前は南風透(みなみかぜとおる)。
私が最近、剣術アカデミーで知り合った人で、本人曰く、
《ちょっとお茶目で可愛げのある紳士な変態》…らしい。
『はいはい。じゃあオジサンは七海の寝顔を愛でてイッちゃいそうなので、退散するとするよ』
そう言うと、頭?首?がちょっとおかしな角度のまま部屋から去っていった。
ふぅ…朝から危なかった。私は寝間着を脱ぎながら鏡の前に立ってみる。
『…また成長した…かな?』
そう…私こと、卯月七海(うづきななみ)は女なのである。
『上手に誤魔化し続けられればいいんだけど…』
少なくとも、透にはバレてないみたいだけど…。
男用の服を出しにクローゼットへと向かうが、やっぱりというか、奥に隠してある女性用の服を取り出してしまう。
『きゃぁぁ!やっぱりフリフリが付いてて可愛い!』
我慢出来ずにフリフリのワンピを来て、鏡の前で何年か前に流行ったポーズをやってみる。
『だっちゅ~の…なぁ~んて…えへ』
ガチャッ!
『おーい!七海!朝飯の時間に遅れるぜぇぇああぁぁあぁ!』
この後、透が記憶を無くすまで切り続けてしまったのは言うまでもないです…。
乙女の部屋をノックしないで入る方が悪いのだ!
あ…でも今は男か…う~ん。ごめん!透(笑)。
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