28人が本棚に入れています
本棚に追加
「わからないのだよ。
本当はだれにも・・・」
「え?」
「だって、行ったことがないのだからね。行ったことがないからこそ、誰にもわからない。
もちろん、私にもね」
言葉の意味が難しくて、幼い私にはわからなかった。
だけど、一つだけわかった。
お母様が遠いところに行ってしまった、という事だ。
「あぁ、そうだカレン。お母様の代わりといっては何だが・・・
お前に執事をつけよう」
「ひつじ?」
「いやいや。執事だよ。私はこれから長い出張があるんだ。だから執事をカレンの傍に置いておこうと思うんだが・・・どうかね?」
「しつじ・・・」
新鮮な響きに、少しワクワクした。
これが、私とレイの出会いだった―・・・
最初のコメントを投稿しよう!