プロローグ

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「わからないのだよ。 本当はだれにも・・・」 「え?」 「だって、行ったことがないのだからね。行ったことがないからこそ、誰にもわからない。 もちろん、私にもね」 言葉の意味が難しくて、幼い私にはわからなかった。 だけど、一つだけわかった。 お母様が遠いところに行ってしまった、という事だ。 「あぁ、そうだカレン。お母様の代わりといっては何だが・・・ お前に執事をつけよう」 「ひつじ?」 「いやいや。執事だよ。私はこれから長い出張があるんだ。だから執事をカレンの傍に置いておこうと思うんだが・・・どうかね?」 「しつじ・・・」 新鮮な響きに、少しワクワクした。 これが、私とレイの出会いだった―・・・
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