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できれば夜逃げのさいちゅうなんかに起こしたくなかった。
「サエ、サエ。起きて」
今にも壊れそうな小さな体を揺さぶる。
「…お兄ちゃん、ここ‥どこ?」
そんな、俺だってわかんない…なんて言えない。
「紗枝!!聞いて驚くな!!!!皆で山でお弁当だ!!!」
親父が助け舟を出してくれた。
俺はすかさず、バッグの缶詰を、「ジャジャーン」と効果音着きで大袈裟に出す。
それでもサエは嬉しいようで、
「やったぁぁぁ!!!皆でピクニックしてるみたい」
そうだったらどんなにいいだろう…
少し借金を作った親父を恨んでしまう…
親父の会社の社長のせいだけどな…
「さぁ食べよう!!! 」
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