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「この目、お化けみたいでしょ。」
有本が言った。おれはその凄まじさに黙ってしまった。暫くたっておれは言った。
「目が見えないのに、自分の目見えんのかよ。」
変な言葉いったな、と思った。
「そう、ぼくには見えるんだよ。この目がどんな形をしているのかね。だから隠しているんだ。」
「見える? おまえ、実は目見えんのか?」
「いや、見えないよ。でも、なんとなくわかる。目の見えない特権は、なんとなくわかることなんだと思うんだ。……だからぼくはわかる。きみはいい人だ。」
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