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 おれは布を頭に確りと一周させた。勿論辺りは暗闇に変わった。が、目をつぶったときと何ら違わない。唯一違うといえば、開けようと思っても、──目隠しをとらずに目を開けようと思っても、開かないことぐらいだった。 「どう? なんとなくわかるでしょ?」  有本はそう言った。おれは目隠しをしたまま、何歩か歩いてみた。ごん、っと机の角に腿をぶつけた。 「わからないな。」 「僕も目が見えること自体わからないよ。」 「まあ、そうだな。ほい、返す。巻いてやろうか?」 「ああ、うん。巻いて。」  おれは有本の目をできるだけ見ないようにして、黒い布の目隠しをつけてやった。こういう話を終えた後、この時から、何故かおれは有本に惹かれ、友達になっていた。
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