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 次の日、有本は学校に来ていなかった。一つ空いた机。誰かしら時々休んでいるのだが、今日はそれが悲しく見えた。有本については、最初の授業で、先生から説明があった。 「有本は病名のわからない病気にかかってる。慢性的──つまり、急激な症状は見られない病気だということで、まだ暫く学校に来れるんだけど、来月、アメリカへ療養しに行くことになった。だから、有本は今月一杯で、転校することになった。」  教室皆だまりこくった。普段うるさい松本でさえ、黙っていた。空気を読む。松本はこれがわかっているのだ。 「じゃあ、移動教室は行けるんですか?」  おれは沈黙を破って質問した。 「移動教室が終わったら、直ぐに飛行機でアメリカに行くって。」
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