3/17
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
 有本のいたあのクラスは当初、何か厄介なものでも入ってきたかのような雰囲気を醸し出していた。手荒く扱えば怒られる、全く手を出さなくても怒られる。一人だけ別な人種、生き物がいるような心持ちだった。  最初の授業、先生は戸惑っていた。算数か何かで、有本は勿論、黒板の字を読むことが出来なかった。のみならず、二桁の掛け算が出てきても、筆算ではなく暗算で計算しなくてはならなかった。先生は有本に特別注意を払って授業していた。問題を態々声に出して読んだり、何度も有本の机に足を運んだ。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!