8/16
前へ
/94ページ
次へ
写真指名用の電光掲示板の前に立つ彼をカーテン越しから見た。 細い身体。 少し長めの黒い前髪が揺れると時折奥にある目を見せる。 強くて でもすぐにでも涙がこぼれてしまいそうな目。 まるでルーヴル美術館のモナリザでも観賞しているかのように 冷静で知的で美しかった。 胸の奥や子宮の奥の奥がズキズキと痛み 脳内の細胞達はザワザワと動きはじめ あたしの腟はどんどん濡れていく気がした。 すかさず馬鹿店長が接客しに行く。 さっきまでの怒りを忘れ ぼーッと突っ立っているあたしに小声で ほらッ用意してッ なんて言う馬鹿店長。 軽く舌打ちして店に戻る。 心の中ではワクワクしながら。 あの人何しに来たんだろ? あの人手でイカせてくれるかな? あの人上手かな? あの人の身体触りたいな そんな想像ばかりする自分が恥ずかしくなる。 おいッどーしたシロっ あんなんただのガリガリ君じゃんかよッ ガリガリ君相手に何濡れてんだよッ どーしたシロっ って。どーしたもこーしたもトキめいちゃってるのは事実だけども。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加