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僕は蜀の武将、姜維伯約だった。
その事実は生まれた時から知っていたし、当時のこともよく覚えている。
しかし神も仏もない今の世に生まれた僕の言葉は両親にとってただの狂言に過ぎないらしい。17歳のある日、僕は精神病院に入院させられた。
病院は市街地から離れた緑豊かな場所にあり、周囲は天辺に有刺鉄線を張り巡らせた壁がそびえ立っている。当然ながら勝手に外出出来ないので、僕はそこで読書や他の患者と話しながら過ごしている。
「本当に、何か思い出せると思ったんですよ」
僕より年下の少年はぼやく。
少年は放火癖の持ち主で何度も小火騒ぎを起こし、見かねた両親が入院させたのだという。
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