信長と南蛮

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「お蘭、その紅絹をここへ」 「……はい」 奇妙な格好を始めた信長に、思わず頬が引き攣る。 「殿、一体何が始まるんですか?」 信長は何日も前から用意をさせていた爆竹を秀政に渡すと、今度は錦袍を着け、紅絹で顔を包むとつば広の黒い南蛮笠を被り始めた。 「お蘭も秀政と共に城下に降りて楽しんで参れ 今日は左義長ぞ」 左義長 それは小正月に行われる火祭の一つで、信長が始めたその祭は現代でも続く400年の伝統的な祭である。 「襦袢って… その格好はへ…変装?」 フンフンと鼻歌を歌う信長を残し、蘭丸は白山に跨がると秀政に連れられ山を下りた。 .
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