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むかしむかし
あるところに
とても美しいお花畑がありました
赤やピンクに黄色や水色
どの花も美しく
野原一面に咲き乱れておりました
その中にひときわ目立つ
一輪のお花がありました
そのお花は
見るも耐え難い
ドブのような色をしておりました
周りのお花は言います
貴女がいては
私たちまで穢れてしまいます
どうか消えてくださいな
ドブ色をしたお花は言います
私は貴女方と
変わりはございません
ただ色が違うだけです
ドブ色のお花は
みんなと同じお花です
しかし周りのお花は
ドブ色のお花を
仲間外れにしておりました
ある時 一羽の小鳥が
お花畑に舞い降りました
小鳥はドブ色のお花に
挨拶をしました
こんにちは
ドブ色の貴女
貴女も周りと同じお花ですか?
ドブ色のお花は答えます
えぇ私はお花です
けれど醜いでしょう
いくらお花でも仲間にはなれません
小鳥さん
どうか私の色を
他と同じ色に染めてくださいな
小鳥は言います
貴女は周りと確かに違います
けれども他と比べ
個性をお持ちでしょう
貴女は貴女です
周りに合わせる必要はないのですよ
ドブ色のお花は
その時少し変わりました
自分を悲観的に見る事をやめたのです
ドブ色のお花は
小鳥にお願いをしました
どうかお願いします
私を別の土地に運んでくださいな
小鳥は彼女の願いを引き受けました
新たな土地に舞い降りたドブ色のお花は
隣のお花に話しかけました
こんにちは
綺麗な貴方
隣のお花は言いました
貴女もとても綺麗なお花だね
ドブ色のお花は
驚きました
私が綺麗…
隣のお花は
ドブ色のお花を受け入れたのです
周りと違うお花を
醜い色をしたお花を
ドブ色のお花は
泣きました
一晩中泣きました
泣きつかれていたけれど
それは何故だか心地がよく
ドブ色のお花は朝を迎える頃
静かに眠りにつきました
静かに…
静かに…
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