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この世界はあなたの住んでいる世界とはちがう。
過去でも現代でも未来でもない。
げ獣の頭を持つ、『獣人』が統括する世界。
そのなかでも有名な狼族はひっそりと山奥に暮らしていた。
そのため、誰も村から出ようとも、誰かが村に入ろうともしなかった。
山の麓まではけっこうある。
だからこの村はほとんど自給自足で暮らしていた。
都会のスタイルに憧れて山を降りる人もいたが、そのなかで彼は、村から降りたくても出られない理由があった。
「”太陽はその父で、月はその母。風が・・・・”」
彼の名前はギーザ。
年齢は18歳。趣味は読書(活字中毒者)。
「あ、ギーザ、また修行サボって本読んでる。」
村の若者であるダンがギーザを軽く叱り付ける。
ダンはギーザを一人前にする修行の師匠でもあった。武術に長けており、剣を二つ用いて戦うことから『双刀のダン』と呼ばれている。
「んぇ?」
「いや、ギーザさ、族長になる気あんの?」
「でも、俺最強だし。今までも、剣術、武術、槍術とか・・・」
「あのねぇ・・・」
ダンは彼を貴重な存在だと思っている。
なぜなら時期族長だからだ。
ただ、彼に自覚はないため、修行の手伝いをしている、
ダンはてをやいている。
「いいかい、いくら君が武術に長けていても、キミのその刺青は覚醒しないじゃないか。・・・・飾りか?」
「うっせぇ!オレだってがんばってるんだ。・・・ジイ様の話だとなんかショックがいるんだって。」
「そのショックを今あたえてやろうじゃないか。
なんせ100年1度しか生まれない狼のビースターだ。」
ビースターとは、生まれつき特殊な刺青をもっており、
力を発動すると、その部分が鎧に包まれ、元素を操る力を持つ獣人のことだ。
この鎧を『野獣の装甲』という。
しかし、ギーザはこの能力を発揮できずにいた。
理由は彼自身でも分からない。
「あぁあ、何でこんな刺青もって生まれたんだろ?」
「まぁ族長の血を継いでるし、あのシーザさんの息子だからなぁ。
シーザさんはやさしくてかっこよかった・・・なぁ?ギーザ。」
「ふん。死んだヤツのこと言っても帰ってはこないさ。」
「僕が言いたいのは見習えってことだよ。」
ギーザの父、シーザは優秀で威厳のある人だったが、
崖から転落して死んでしまった。
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