野獣の装甲

2/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
この世界はあなたの住んでいる世界とはちがう。 過去でも現代でも未来でもない。 げ獣の頭を持つ、『獣人』が統括する世界。 そのなかでも有名な狼族はひっそりと山奥に暮らしていた。 そのため、誰も村から出ようとも、誰かが村に入ろうともしなかった。 山の麓まではけっこうある。 だからこの村はほとんど自給自足で暮らしていた。 都会のスタイルに憧れて山を降りる人もいたが、そのなかで彼は、村から降りたくても出られない理由があった。 「”太陽はその父で、月はその母。風が・・・・”」 彼の名前はギーザ。 年齢は18歳。趣味は読書(活字中毒者)。 「あ、ギーザ、また修行サボって本読んでる。」 村の若者であるダンがギーザを軽く叱り付ける。 ダンはギーザを一人前にする修行の師匠でもあった。武術に長けており、剣を二つ用いて戦うことから『双刀のダン』と呼ばれている。 「んぇ?」 「いや、ギーザさ、族長になる気あんの?」 「でも、俺最強だし。今までも、剣術、武術、槍術とか・・・」 「あのねぇ・・・」 ダンは彼を貴重な存在だと思っている。 なぜなら時期族長だからだ。 ただ、彼に自覚はないため、修行の手伝いをしている、 ダンはてをやいている。 「いいかい、いくら君が武術に長けていても、キミのその刺青は覚醒しないじゃないか。・・・・飾りか?」 「うっせぇ!オレだってがんばってるんだ。・・・ジイ様の話だとなんかショックがいるんだって。」 「そのショックを今あたえてやろうじゃないか。  なんせ100年1度しか生まれない狼のビースターだ。」 ビースターとは、生まれつき特殊な刺青をもっており、 力を発動すると、その部分が鎧に包まれ、元素を操る力を持つ獣人のことだ。 この鎧を『野獣の装甲』という。 しかし、ギーザはこの能力を発揮できずにいた。 理由は彼自身でも分からない。 「あぁあ、何でこんな刺青もって生まれたんだろ?」 「まぁ族長の血を継いでるし、あのシーザさんの息子だからなぁ。 シーザさんはやさしくてかっこよかった・・・なぁ?ギーザ。」 「ふん。死んだヤツのこと言っても帰ってはこないさ。」 「僕が言いたいのは見習えってことだよ。」 ギーザの父、シーザは優秀で威厳のある人だったが、 崖から転落して死んでしまった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!