恐怖への落とし穴。

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      「バーカ、俺だよ」 担任だとばかり思っていた俺は、とっさに頭を上げて声の主を確認した。 「お、お前っ! ……はぁ」 そこに立っていたのは、遅刻魔仲間の……いや、俺の相方的存在の井上凌(いがみ りょう)だった。 「ハハ! 似すぎててビックリしただろ?」 そう言って凌は高々と笑った。 どうやら、こいつも俺と同じく最後の最後まで遅刻をしたらしい。 「ふざけんじゃねーよ! お前、マジでビビったんだからな!」 凌の横っ腹に蹴りを一発食らわせて、遅刻した俺等は大声でふざけ合っていた。 勿論周りには生徒や先生の姿は無く、長い廊下には俺達2人の姿しか無かった。 ちなみにこいつは、空気の読めない方の盛り上げ役第2号。 外見はどこにでもいる普通の健全男子だが、こいつはちょっとヘアスタイルに問題有り。 なんせ、頭……いや、髪の毛がツンツンし過ぎてウニみたいなのだ。 コイツ的には気に入っているみたいなので、俺は敢えて何も言わないが。      
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