ひと夏の恋

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~誠の家(蓬の部屋)~ 蓬は、亮成に別れを告げて、家に戻った。夜に時間を作るためにも、昼のうちに帰る準備をするためだ。蓬は、帰りたくないという気持ちから、なかなか準備が進まなかった。しばらく準備を進めていると、部屋のドアが叩かれた。蓬がドアを開けると、そこには誠が立っていた。 「準備は出来たかい?」 誠は優しく聞いた。蓬は、慌てて言った。 「あ、あとちょっとだから!」 「そうかい。終わったらご飯にしようね」 誠はそう言うと戻っていった。蓬は、急いで帰る準備をした。 ~森林~ 夕食を食べた蓬は、則子に許可を得て森に来ていた。蓬が着いたときには、すでに亮成が来ていた。蓬は、早速亮成に話しかけた。 「こんばんは。待ちましたか?」 「ううん。今着いたよ」 亮成は笑いながら言った。蓬は、笑顔で言った。 「それじゃあ、行きましょうか!」 「うん」 亮成は明るく言った。 ~丘~ あと少しで着くと言うところで、亮成は言った。 「ちょっと目をつぶって」 「えっ・・・。はい・・・」 蓬は、不思議そうに言って目をつぶった。亮成は、蓬の手を掴んで蓬を連れて行った。ある場所に着くと、亮成が言った。 「もう、目を開けてもいいよ!」 蓬は、そっと目を開けた。そこには、こぼれんばかりの星空が広がっていた。蓬は、今までの人生の中で、これほどまでに素晴らしい星空を見たことはなかった。蓬は、あまりの美しさに思わず声を漏らした。 「綺麗・・・」 「すごいでしょ?」 亮成は、蓬を見て言った。蓬は喜んでいった。 「はい!」 蓬と亮成は、いつまでも2人で夜空を見続けた。
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