ひと夏の恋

11/11
前へ
/54ページ
次へ
~誠の家(家前)~ 次の日、朝一番で帰ることになった。蓬は、最後にひと目亮成を見たかったが、そんな時間はなかった。蓬は、ここに残りたいという気持ちから、車に乗るのをしぶっていた。しかし、時間の都合で車に乗った。 ~路地~ 車に乗って少し経った頃、いつもの森の前を通った。その時、亮成の姿が見えた。蓬は慌てて言った。 「止めて!」 則子は、突然のことに驚いたが、すぐに車を止めた。車が止まると。すぐに蓬は車を降りた。 「ちょっと蓬!?」 則子は、蓬を止めようとしたが、蓬はすぐに走っていった。 「亮成さん!」 蓬は、亮成のもとに走りながら言った。亮成も、蓬のもとまで走った。2人が会うと、すぐに、蓬は泣きながら言った。 「来て・・・くれたんですね・・・」 「当たり前じゃないか」 亮成は、蓬を見ながら言った。 「嬉しい・・・」 蓬がそう言うと、亮成は蓬を抱きしめた。 「私・・・亮成さんのこと・・・」 蓬は、泣きながら言った。亮成は、さらに蓬を抱きしめた。 「本当に大好きです・・・」 蓬は、思い切って言った。 「俺もだよ。蓬ちゃん・・・」 亮成は、蓬を抱きしめながら言った。2人は、しばらくそのまま抱きしめ合った。そのあと、亮成は首に付けていたネックレスの指輪を取って言った。 「これ、蓬ちゃんにあげるね」 「えっ!?これって・・・」 蓬は、驚いて言った。 「最後の思い出!」 亮成は笑って言った。蓬は、指輪を受け取ると走りながら言った。 「ありがとう!」 亮成は、蓬がいなくなるまで手を振り続けた。 ~車内~ 車に戻った蓬は、則子に謝った。 「ごめん。お母さん!」 「もう行くわよ」 則子は、少し怒って言った。再び走り出した車の中で、蓬の指には、亮成からもらった指輪が光っていた。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加