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~テーマパーク(入口)~
目的地に着いた統司は驚いた。そこは、昔からよく来ていたテーマパークだった。南美は明るく言った。
「懐かしいでしょ?」
「ん、ああ。まあな・・・」
統司は、困ったように答えた。南美がこのテーマパークを選んだのには理由があった。南美と統司が付き合い始めたのは、今から約2年前だった。その時、統司が南美に告白した場所が、このテーマパークだった。南美は、統司にその頃の気持ちを思い出してもらうために、このテーマパークを選んだ。統司は、そんなこととは知らずに、何度も来ているテーマパークにうんざりしていた。
~テーマパーク(ジェットコースター)~
南美は、わざと告白された場所を通らないように、園内を回った。統司は、そのことに気付いていたが、あえて何も言わずに、南美に全てを任せていた。
「あれ乗ろ!」
南美は、ジェットコースターを指差して言った。
「あ、ああ。」
統司は、静かに言った。南美が指差したジェットコースターは、昔から統司が一番好きだったアトラクションだった。南美は、統司の手を引くと、ジェットコースターの入口に行った。2人がジェットコースターに乗ると、南美が話し始めた。
「なんか、ワクワクするね!」
「そうだな。最近乗ってなかったし・・・」
統司は、素っ気なく答えた。
「統司・・・。最近なんか・・・」
南美が言い終わらぬうちに、ジェットコースターは動き出した。南美は、統司との関係がこのまま終わってしまいそうで、不安だった。しばらくして、ジェットコースターは1周回った。南美と統司は、ジェットコースターを降りた。統司は、不思議そうに聞いた。
「さっき、なんか言わなかったか?」
「ううん。なんでもないよ!」
南美は明るく言った。
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