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~森林~
次の日、蓬は亮成に会いたくて、急いで昨日会った大きな木の下に行った。そこには、まだ亮成は来ておらず、蓬はそこで待つことにした。しばらく待っていると、亮成がやってきた。
「おはよう」
亮成は、笑顔で言った。蓬は、その笑顔を見ると、すごく嬉しくなった。
「おはようございます!」
蓬は、明るく言った。
「ずいぶん早いんだね」
亮成は、蓬の顔を見て言った。蓬は、恥ずかしそうに言った。
「はい・・・」
蓬の言葉を聞くと、亮成は大きく伸びて言った。
「うーん。今日もいい天気だ」
「そうですね」
蓬は、亮成を見て言った。亮成は、木の下に座って言った。
「やっぱりここはいいところだね」
蓬も亮成の隣に座って言った。
「そうですね。すごく気持ちいい・・・」
「うん」
亮成は笑顔で言った。それから、2人は他愛もないことを話した。しかし、この何気ない時間が、蓬にとって幸せな時間だった。
~誠の家(居間)~
昼になり、蓬は亮成と別れて、昼食を取ることにした。蓬が帰ってくると、則子が呼んだ。
「蓬!あなたも、こっちにいらっしゃい」
蓬は、則子の声のする居間へと向かった。居間に入ると、則子と誠が仏壇の前に座っていた。蓬は、2人のもとに行って聞いた。
「なに?」
「お祖母ちゃんに挨拶しなさい」
則子は、仏壇を見て言った。蓬の祖母は、5年前に病気で亡くなっていた。今回、則子が蓬を連れてきたのは、祖母に大きくなった蓬を見せるためだった。蓬は、則子に言われた通り、仏壇に向かって目を閉じ、手を合わせた。蓬は、祖母のことをよく覚えていなかった。それでも、蓬は祖母が見守ってくれているのだと思い、必死に手を合わせ続けた。蓬が目を開けると、則子が立ち上がって言った。
「それじゃあ、お昼にしようか」
「あ、私も手伝う!」
蓬はそう言って立ち上がった。誠は、そんな蓬の姿を見ると、嬉しさから自然に笑顔になった。
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