~それはほんのささやかな幸せの欠片~

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斎「総司っ!聞け、俺は確かに副長を慕ってはいる だが、それはあの人が真の武士だと思えばこそ…好いているのとは違う アンタが思うようなところは微塵もない」 沖「ふーん?じゃあさっ…」 斎「な…っ」 後ろに引き倒され、組み合っていた両の手はしっかりと頭上で固定されていた このまま引いてくれる、等とは思っていなかったが、いつもより打ち付けた背が痛い 斎「…まだ、何かあるのか?」 目の前…と言うか、上に乗っている総司に問えば 沖「ん?何が?」 当然のようにとぼけた答えが返ってきて、そっと顔を近付けられる が、近付くだけで、いつもの口付けは振ってはこない 口付けから焦らされたことなど滅多にない 相当怒っているのか、何か言わせたいことがあるのか… 斎「…総司、何がそんなに気に掛かる…何を言わせたい?」 両方なのではないか、と踏んで尋ねれば 沖「さすが一君、ちゃんとわかってるじゃん でも、気に掛かってることは教えてあげない 言わせたいことは二つ…いや一つかな」 満足気に笑むその顔は、いくぶん和らいだものの、その瞳はまだ機嫌の悪さを拭えないでいた 沖「ねぇ、一君の好いた人って誰?」 斎「…何」 さらり、と口にされた問いに、我が耳を疑う つい最近、それは告げたばかりなのだが…    
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