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私はもう23歳になった。
秋山新一は、私より3つ年上の大切な人。
家族よりも友人よりも恋人よりも強く信頼できる人。
そんな彼は、もう私の側にはいない。
理系の大学に通っていた彼は、最初の頃、ろくな女が居ないと嘆いていたのをよく覚えてる。
でも、容姿のせいか彼はいつも彼女が絶えないようだった。
そんな彼と私が、親友よりも恋人よりも大切な存在になった理由は覚えてない。
もう八年前の出会いの事なんて覚えてない。
ただ、気付いたときには、一緒にいる努力をしなくても、マメに連絡を取らなくても、信頼できる存在だった。
人と長く関係を保つことが苦手な私。
人の感情に敏感で、友達関係にメリットを求めるようになる高校生になると、人間不振は隠しきれなくなっていった。
数人の友達と、友達とは呼ばない同級生。
そんな私が、数人の友人にも言わない程大切な新一。
新一の存在を明かすようになったのは高校三年生位だったと思う。
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