それでも忘れない

キーマン

店長は休憩室に着くとタバコに火をつけだす。
さすがに私は高校生なのでお店でタバコは吸わない。

自他共にヘビースモーカーだと認める私は、店長をちょっとうらやましく思った。

目線がタバコに向かっていたんだろう。

「なぁに？そんなに見て。コレ吸う？」

笑窪を作るその笑顔も、下心というものを隠せていないが、店長が吸っているタバコが、メンソールではないことを確認した。

残念ながら、私は間接キスを気にするような純粋な心は持っていない。

新一も待たせてるから、しばらく吸えそうもないな。

「え？吸ってもいいの？じゃぁもーらい。」

更衣室に着替えとタバコが置いてある私は、ためらいもなく店長に近づく。
多分、目はキラキラ光輝いていたと思われる。

「キス」

店長のタバコに手をかけたとき、意地悪い顔で呟く。

キスをしないとあげないよ。
そう言いたいんだろう。

テンションがた落ちだ。