∬一話目∬

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「おいおい兄ちゃん。月夜なんてホントに女みたいな名前だな。性別間違ってねぇかい?」   風の頭の上の人形から凄く・・・物凄く不愉快な事を言われた気がした。   「無視はよくねぇぜ兄ちゃん。いや姉ちゃん」   「ぶっ潰す」   俺は人形の頭を握り、徐々に力を籠めながら呟いた。   「おぉ!?止めてくださいお兄さん。宝慧も謝って謝って」   風の小さい手が俺の手首を掴んで抑止させ、頭の人形・・・宝慧に注意した。   「ほらほら稟ちゃんも、固まってないで自己紹介しましょう」   風は星の説明以降まったく会話に参加していなかった稟を呼ぶ。   俺もつられて視線を移すと   「ふ・・・風呂・・・・・・一緒に・・・お風呂・・・・・・殿方と・・・一緒に」   鼻から赤い滝を流しながら呟いていた。   正直に言おう! 結構怖いよ・・・   「あらら~。稟ちゃんとんとんしましょうね。とんと~ん」   「はっ!?あぁ、ありがとう」   風に介護されながら、稟は視線を俺に移した。   「ふむ。二人が真名を授けたのなら私も授けなければなりませんね」   個人の自由な気がするのは俺だけ?   大切な名前なんだよね?   神聖な名前なんでしょ?   皆結構適当な感じに授けてくれるね・・・   「我が名は郭嘉。字は奉考。真名は稟。よろしく」   稟は眼鏡の位置を直しながらクールに決めた・・・が、先ほどの鼻血で口元が真っ赤でしまりがないなぁ。   こうして、新しい仲間を得て俺は三国志の・・・ちょっと違うけど、旅に出た。   次は公孫賛か、時代は黄巾の乱。   どうなることやら・・・
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