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「これより三日ほど西に行った所に公孫賛殿が族討伐のために陣を敷いているらしい。私はそこへ客将として行こうと思うのだが、鳳穿殿もご一緒にいかがですかな?」
どうやら、近くに街や村はないらしく、一番近くでそこらしいな・・・しかたないか。
「了承。よろしく頼むよ」
「ふふふ、では改めて、我が名は趙雲、字は子龍。真名を星と言う。よろしく頼む」
・・・・・・真名?
真名って何だ?
多分真の名前って書くだろうから、特別な名前って事か?
あ~、俺にはそんなもんないぞ?どうする?
「鳳穿殿?」
黙って深くに考えてしまった俺を、趙雲・・・改め星は訝しげむ。
「あぁ悪い、俺には真名がないんだ」
「何と!?真名がないとは・・・ふむ」
星は少し驚いた様子で俺を見る。
やっぱ真名がないのはいけなかったか?
「そ・・・そうだ、よければ星、君が俺に真名を付けてくれないか?」
「私が?しかし会ったばかりの私が付けても良いものか・・・」
「これも何かの縁だよ。俺は星に付けてほしいんだ」
半ばムリヤリに話しを進め、俺の真名を考える星。
真剣に考える様子から、どうやら本当に大切な名前らしい・・・
「ふむ、月夜ではどうだろうか?」
「つくよ?」
「うむ。私の真名は星と書いて「せい」と読むのでな。なので星にちなんで月と夜を合わせてみたのだが・・・いかがか?」
月夜ねぇ・・・まぁいいかな?月好きだし・・・
「うんいいね。では・・・」
俺は星の顔を真っ直ぐに見つめると、ゆっくりと口を開いた。
「我は鳳穿。字は彗樹。真名は月夜だ」
字は自分で考えた。
夜や星と聞いて浮かんだ彗星と、周りを囲む木々の数々。
「けいじゅ」
それを字に、俺は星と握手をした。
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