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「王子さま、例の少年が城までついてきてしまったのですが。」
男性は王子へ報告する。
謁見の間と呼ばれている部屋で男性が頭を下げている先の人こそ、今代王子その人だった。
顔立ちはやはり端正なもので、美少年といっても過言ではない。
瞳の色は碧く、いきいきと輝くサファイアの如き美しさだと兵士は語る。
「そうか。では、客人として迎えよう。言葉はわかるのか?」
「いえ、口の動きを読んで、頷くぐらいです。」
「ほう。そうか。言葉はわかるようだな。」
王子がそういうと、男性はしまったという顔をした。
それから、
「正確には、『口の開閉をみて、それにあわせて頷く』のです。」
と訂正した。
かくして、少年は城の客人として迎えられた。
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