灰被り

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俺はちゃぶ台の上に置かれた福引き券を握りしめ家を飛び出した。 あのババァ…今まで何も言わなかっただけで、もう家には米を買う金さえなかったのか!! それを誰にも言わず明るく振る舞っていたババァの事を想像すると思わず涙が零れる。 待ってろババァ!! 必ず俺がお米券をゲットしてみせるからな!! 必死で走り商店街に辿り着く。 福引き会場を覗くと あった!!ババァ!!まだ2位のお米券は残ってるぞ!! 1位の地デジ対応テレビと特賞の『スペシャル』って奴も気になるが、それは諦めよう。 何が何でもお米券を手に入れてやる!! 俺は握りしめ過ぎてしわくちゃになった福引き券を係員に手渡すと両手を合わせ神頼み。 この前神頼みしたのは、期末テストの時だったか? 「ふんっ!!」 気合いを入れ機械を回す。 頼む!出てくれお米券!! ガラガラガラガラ コロッ …金色の玉? あれ?青は? お米券は青なんですけど。 てか金色って何? …特賞? 「大当たりー!! 特賞のスペシャルー!!」 「お米券は!!??」 「おめでとうございまーす!!!」 「お米券はぁぁぁ!!!???」 俺は地面に崩れ落ちた。 悔し涙が止まらない。 …ごめんババァ…俺、しばらく米なしでいいから…。 家にいるババァに懺悔している俺の前に一枚の封筒が差し出された。 俺はその封筒を受け取り鼻をかむ。 ティッシュの方がありがたいんだよなぁ。 これだと完璧に鼻痛くなるし。
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