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「鼻水かまないで下さい!!」
係員は封筒を奪い返すと眉間に皺を寄せながら俺の鼻水をティッシュで拭き取る。
鼻水を他人に公開する日が来ようとは…。
「封筒の中に入っている景品について説明しますので、事務所に行きましょう。」
景品!!??
まさかお米一年分か!!??
焦って封筒を破ると中には一枚の紙。
「…何これ?」
「シンデレラ券です。」
紙には確かに『シンデレラ券』の文字。
『シンデレラ券』って何だ?
シンデレラグッズ引換券だろうか?
…絶対いらねぇ。
「…お米券に換えてもらえませんか?」
「無理です。
さぁ行きましょう。」
事務所に引き摺られて行く俺。
神様なんて頼るんじゃなかった。
事務所には60前後の女性と黒服にサングラスの怪しい集団が待ち構えていた。
「…帰っていい?」
「駄目です。」
部屋に押し込まれてしまった。
黒服集団に体を触られる。
ボディーチェックらしい。
…恐怖で漏らしそうだ。
「貴方が今回のシンデレラですね。
どうぞお掛けになって。」
女性に言われパイプ椅子に座る。
居心地悪ぃ。
「…シンデレラってあれですか?
ガラスの靴履いて武道会に行く。」
「ガラスの靴は履きましたが武道会には行ってませんよ。
舞踏会です。」
「…あっそうですよね。
ガラスの靴って意外と痛そうですもんね。」
…俺、何言ってんだ?
「今回あなたにはシンデレラになるチャンスを与えます。
…シンデレラと言うより王子と言った方が正確かもしれませんが。」
「チャンス?」
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