霊感猫、夢に迎えに来る

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うちには 六匹の猫がいる 雄が三匹と 雌が三匹 そのうちの 雌の一匹は 霊媒師兼マネージャー 生後一、二ヶ月の頃 いたずら好きで そこら辺に しゃあしゃあと おしっこを しまくっていた ところがある日 俺が 不注意から 灰皿の始末をしないで 出掛けて帰ってみると タバコを 食べてしまったらしく ぐったりとしていた 俺の不注意 女房は切れまくってる 俺は そのお姫様みたいな 雰囲気から名付けた ヒメに謝りながら 水で胃洗浄をし 膝の上に抱え かすかなに残る 温もりを頼りに ごめんね~ ごめんね~と 言いながら 朝まで撫でながら 抱き続けた 朝方 日が昇る頃 彼女は 不死鳥のように 息を吹き返した それから 性格も すごく神経質になって まるで別人のよう ある朝 女房が 出勤しようとして バックを手に取ると バックをくわえたまんま 離さない そのうち バーンとどでかい音が 音がしたら ヒメはバックを離した 外に出てみれば 家を出たところで 車が横になっていた それから女房は ヒメの言う事を よく聞くようになった 本当は俺よりも 普通に霊が見えるのに カンを信じるよりも ルールや他人の言葉を 鵜呑みにしてしまう 左脳人間 家庭環境とか 育ちとは怖いものだ まっ こんな俺よりも 男らしいから 助かっているのかも そんな感じだが 昨日は 三途の川で 久しぶりに 十二時間も ぐだぐだと くつろいでいたら ヒメが 迎えに来た ヒメは 命が助かった日から 毎日飯時には 自分のご飯と 俺とを行き来して ありがとうありがとうを 二十回も繰り返す 来るたびに 俺が頭を撫でるまでは 動かない もう別に気にしなくても いいのに 俺の方こそ 悪かったんだから ヒメは そんな 俺の気持ちなんて お構いなし 自分がしたいから 勝手にやってるだけ だよ~ 洋猫の血が混じった どこまでも透き通る 水色の目で 語りかけてくる 朝だよ~ お風呂入りなさいよ~ いいマネージャーさん ぶりだ
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