一章 桃園の誓い

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「でも俺、魔法とか仙術とか使えないよ。そのまぁ、空手はできるけど」 人を助ける。そんな事は俺の世界にもあることだ。でも、それは難しいもので有ることを俺は知っている。 トウカ「仙術を宛にしていなかったと言えば、嘘になるけど、でも私は東雲さまと一緒に行きたい。」 劉備の言葉や表情と同じ、強く思う心に宿る炎のような熱いものが手のひらを通して伝わる。 アイシャ「仙術が使えなくとも、その天の御遣いという名が大事なのです。」 関羽が腕を組みながら、俺に劉備と同じ瞳を向けてくる。 リンリン「名声、風評、知名度っていう、人を惹き付けるものが鈴々たちにはまだなくて、でもそれはお兄ちゃんと一緒なら付いてくるのだ。」 まだ子供である張飛にも、二人と同じ思いがある。 俺に何が出来るのか……それはまだ分からないけど、こんな娘たちが乱世を治める事が出来たら、本当に平和な世の中になるのかもしれない。 なら、俺は…… 「わかった。俺で良ければ力になるよ。」 トウカ「本当ですかっ!?」 「うん。俺に何が出来るか分からないけどね。」 アイシャ「いえ、そんな事はありません。ありがとうございます。」 リンリン「わぁ~い♪これからよろしくね。お兄ちゃん。」 俺がこの世界に来たことには何か分けがあるはずだ。物の理にはそれ相応の理由が必ず存在するって、師匠が言ってたもんな。 それに。この娘たちが歩む道を近くで見てみたい気もするし。 アイシャ「それではご主人様、行きましょうか。」 「ご、ご主人さまぁ?そ、それって俺のこと?」 トウカ「そうだね。愛紗ちゃんの言う通り、お兄さんはこれから私たちのご主人様です。」 リンリン「それじゃ行こうなのだ。ご主人お兄ちゃん♪」 ご主人様ってのは恥ずかしいけど。ま、いっか。 「あぁ。それじゃ行こう。」 そうして俺は、この三人とこの乱世を平定すべく、歩きだした。
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