一章 桃園の誓い

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―――――――――――――― その途中………… トウカ「この辺り、かなぁ?」 アイシャ「町で聞いた場所は確かこの辺りだったと思います。」 「さっき言っていた公孫賛って言う人のところにもう着いたの?」 二人に俺は聞く。今俺たちが向かっているところは、劉備が昔同じ私塾で一緒だった公孫賛という人の所だ。劉備が言うには、最近、近隣を荒らしまわっている盗賊を懲らしめるため、武芸に秀でた者達を集めているという噂を聞き、関羽と張飛の二人が絶対に参加すべきだということで、ということらしい。 トウカ「違いますよ。今私たちは…」 リンリン「見つけたよ~!」 劉備が何か言おうとしていたところに、一人先行していた張飛が丘の上から、両手を大きく振りながら、元気いっぱいな声で俺たちを呼んでいた。 三人で顔を見合せると、さっそく張飛のいる場所へと歩を進める。 すると、そこには眼下に広がる一面桃色の世界があった。 トウカ「これが桃園………綺麗だねぇ♪」 アイシャ「本当に……まさに桃園という名にふさわしい美しさです。」 「確かにこれは、綺麗だ。」 桜の花に負けず劣らずの桃色の花。こんな素晴らしい物を見ると、何だかやっていけそうな気がしてきた。 リンリン「は~や~く!こっちに来て酒を飲むのだぁ~!」 そこに、一人さっさと桃の木の下で胡座をしている張飛が声を上げた。 アイシャ「まったく、あいつは。」 トウカ「鈴々ちゃんらしいよ♪」 「アハハ。まぁまぁ、それじゃ二人とも張飛を待たせちゃ一人で飲んじゃうよ。」 俺の言葉に、関羽がいち早く反応し、俺が気付くと既に張飛のところで正座していた。 それを劉備と二人で笑ってから、自分たちもそこへと急ぐ。 そしてそれぞれ手に持った盃に、お酒を注ぎながら、 「それにしても、俺があの有名なシーンに同席するなんて、考えもしなかったなぁ」 しみじみと呟いた。 トウカ「どうかしたの?ご主人さま。」 「いや何でもないよ。ただ感慨深いと思って」 リンリン「アハハ♪変なお兄ちゃん。それよりも、お兄ちゃんには鈴々たちの仲間になったんだから、ちゃんと真名を呼んで欲しいのだ。」 「まな?真名って何?」
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