二章 黄巾の乱

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大勝利で初陣を飾った俺たち。 その後も、白蓮の城の一角の部屋を与えられ、そのまま白蓮の下に留まっていた。 そして、その間にも盗賊討伐の日々は続いていた。最近ここら一帯では関羽や張飛、趙雲の名前を知らぬ者はいないのではないか、という位の活躍をしていた。 その中には、ちゃっかり俺の名前もあったりなかったり。でもそれが、武功で上げた名前ではなく、天の御遣いっていう名前ってのは少し悲しい。 そんな中、ある意味平穏な日常を過ごしている俺たちと違い、大陸の様子は瞬く間に悪くなっていったのだ。 匪賊の横行に大飢饉、さらには疫病までが流行りだす始末。 人々の心には「平穏」という言葉がない程の暴乱である。 それは、徐々に俺たちの街にも近づいてきた。街を警邏する兵たちにストレスが堪っていき、街の人々が些細な事で、喧嘩になってしまう。 そんな雰囲気が、村を、街を、城を覆いつくし、それが大陸全土へと広がるのも時間の問題であると思われたある日…… 地方太守の暴政に耐え兼ねた民が、一揆を起こしたのだ。 それを何とか鎮圧した地方だったが、それは大陸全土を覆っていたマイナスの気が一気に膨れ上がるのには十分だった。地方の反乱が所々で勃発し、その暴徒たちが大陸の三分の一を掌握したのはつい最近。そして、帝が官軍だけでは頼りにならないと、地方の俺たちに招集命令が出されたのはつい昨日のことだ。 俺はこれから何が起こるかわかっていたが、実際に体験するのとしないのとでは全く違うということを、痛感した。 そして今、俺は白蓮の城を侍女の娘と一緒に走っていた。 昨日の帝からの命令に対する軍義をするため、玉座に集まるとのことを忘れていたのだ。 「やばいヤバいヤバイ!!愛紗遅刻に煩いから怒られるかも」
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