二章 黄巾の乱

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白蓮の城を出て、荒れた平野を進軍する俺たち。 各方面に斥候を放って黄巾党の動向を探っているのは、何を隠そう俺の指示だ。 いやぁ。元の世界で三国無双やっといて正解だな。 そんなことを考えていたからか、知らぬ間に笑っていた俺に愛紗の非難の声が掛かった。 アイシャ「ご主人さま!何ですかその体たらくは!もっとしゃんとしてくれなくては、兵たちの指揮に関わります。」 トウカ「そうだよ~ご主人さま。」 「う……ごめん。」 いつものんびりしている桃香にまで言われるなんて……… リンリン「あ~!お兄ちゃん怒られてる~♪」 緊張感ないのは鈴々もだな。よし、なら鈴々も巻き込んじまうか。 「愛紗、鈴々も……」 ギユウヘイ「申し上げます!」 その時だ。前方から走り寄ってきた兵の一人が、俺たちの前で跪いたのは。 ギユウヘイ「ここより前方五里のところに、黄巾党とおぼしき集団が陣を構えております!その数、約一万!」 「一万っ!?多すぎだろ……こっちは約六千だってのに!」 だけどここで引き返してしまっては、黄巾党討伐という大義を持って集まってくれた義勇兵の皆が、俺たちを見限ってしまうかもしれない。どうする…… ?「だ、だだ、大丈夫です!」 「え?」 アイシャ「誰だ!!」 思考をしていると、近くから子供の声がしたと思うと愛紗が俺の後ろに周り、その声の主であろう子供二人?の襟首を持ち上げた。 ?「ひゃあ…あぅあぅ……」 ?「えうぅ……」 一人は肩までの金髪に可愛らしい帽子を被った女の子。 一人は銀色の長い髪を左右二つに結い、魔女が被るような帽子を目深に被る女の子。 ?「お、下ろしてください。」 金髪の女の子が泣き声のような声を上げ、愛紗の顔を見る。 ?「うぅ……」 銀色の髪の女の子は既に涙を目にいっぱいに溜め、何かの拍子で直ぐに泣くであろう。
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