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それから、俺たちは自己紹介を終えて、朱里と雛里が来る前に聞いていた伝令の報告について考えている。
「それで早速なんだけど、今俺たちの前には黄巾党がいる。だけど数は俺たちの倍、どうればいいかな?」
シュリ「先程の伝令の人からの報告では、五里先に陣を構えているとのことですが、そこはおそらく、交通の要衛地点。」
ヒナリ「戦をする段階において、そこは重要な場所であるにも関わらず、黄巾党は一万しか兵を配置していません。」
朱里と雛里は、俺たちに分かりやすく地面に小枝を使って説明していく。
アイシャ「ふむ。そこを叩けば黄巾党全軍に影響が出る、という訳か。」
トウカ「でも、どうするの?はじめにご主人さまが言ったように、私たちは六千、黄巾党は一万だよ。」
「そうなんだよなぁ……。」
リンリン「大丈夫なのだ!鈴々がみ~んなやっつけてやるのだ!」
ぺったんこな胸を張り、自信満々に言い放つ鈴々には愛紗がキツい一発をその頭に叩き込んで、反省させた。
シュリ「鈴々ちゃんの意見も、あながち間違いではないです。愛紗さんと鈴々ちゃんの勇声は、これ迄の盗賊討伐によって高まって居ますし、何よりご主人さまがいます。」
ヒナリ「敵が私たちを見て、最初に思うことはおそらく、数も少ない農民上がりの雑兵。でも、実際は愛紗さんと鈴々ちゃんが率いる、統率のとれた義勇兵。さらに天の御遣いが率いる軍。」
「なるほど、敵に自分たちが相手をするのは弱い敵だと思い込ませ、油断を誘うのか。でもその後は?」
俺の問い掛けに、朱里と雛里は笑みを浮かべた顔を見合せて、
「「それこそが、私たちが考える策なのです♪」」
と綺麗にハモらせた。
アイシャ「して、その策とやらは何なのだ?」
愛紗は腕を組み、二人に尋ねる。
シュリ「それは、数で負けない状況を作り出せばいいんです。」
ヒナリ「その為には、この場所に敵を誘い出す必要があります。」
雛里が小枝で指したところは、俺たちがいる場所から北東へ二里程のところだった。
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