二章 黄巾の乱

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―――――――――――――― アイシャ「勇敢なる戦士たちよ!我に続けぇぇぇ!!」 愛紗の雄叫びと共に咆哮した兵士たちが、敵に向かって突進していく。 そしてそれに合わせるように、前方からも土煙が舞い上がる。 コウキントウ「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇ!!」 ギユウヘイ「うぉおおおお!!」 両軍が激突し、激しい罵りあいと幾多の剣撃の音が起こる。 飛び散る血飛沫。 切れた腕が人の足によって、踏み潰され只の肉塊に変わっていく。 敵味方を問わずして、悲鳴、怒号、罵声がそこかしこでする。 「はぁああああ!!」 黄巾党の兵を相手に、かつては友と切磋琢磨した拳を、脚を使って目の前の敵を殺していく。 空手を教わるようになって、師匠から教えてもらったのは、礼儀と空手の面白さ。だけど、この世界に来て分かったのは、空手は人を殺すことの出来る力だということ。 白蓮の城で、久々に空手の型をやっていると愛紗に、それはどこの武なのです?、等と聞かれ、仕舞いには組み手に付き合わされてしまい、空手が人を殺せる物だとわかってしまったのだ。 盗賊討伐の際には、はじめは剣を使っていたが、やはり人を切る感触には馴れず嘔吐を繰り返していた。だが、愛紗に空手を使っても人は殺せる事を教えてもらうと、後はもう簡単だった。 はじめは人を自分の拳で、脚で壊していくのは只の恐怖でしかなかったが、此処で生きていくためには、必要な事であり、それは自分の身も守る事につながること。 そうして、俺は人を殺す覚悟を、生きていく事を誓った。 「うらぁあああ!!」 背後に自分に突き刺さる、死線を感じ回し蹴りを急所を狙って放ち、崩れたところに回転した勢いそのままに、逆の脚の踵を首の部分に打ち込む。 鋼の手甲、脚甲は俺の空手の技を何倍にもした。
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