897人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁわかった。朱里、後退指揮は任せたからね。」
シュリ「はい!任せて下さい♪」
二人に笑みを返して答え、俺は本陣がある狭間に向けて自分の足に力を入れて、平野を駆ける。
少ししてから、後ろから鈴々の雄叫びが聞こえた。鈴々ならば、きちんと殿を努め上げるだろう。
そう考えていると、馬の蹄の音が近付いてくるのに気が付いた。
アイシャ「ご主人さま!お乗り下さい!馬の足の方が何倍も早く着きます!」
愛紗が俺の横に馬を止まらせると、手を伸ばしてくる。俺はその手を掴み、愛紗の後ろに跨がった。俺が馬に乗ったのを確認すると、愛紗は再び馬を本陣に向けて走らせた。
「無事で良かったよ、愛紗。」
アイシャ「ご主人さまこそ!本来であれば、私がお側にいなければなりませんでしたのに。」
馬の上で安否を確認し合う俺たち。そうこうしている内に、本陣が見えてきた。
トウカ「ご主人さまぁ~!愛紗ちゃ~ん!」
桃香が手を振りながら、声を張り上げていた。
全く、あいつは。
雛里はその隣で、あわあわと焦っているのが見えた。雛里がある意味では一番疲れる役回りだった、かな?
「二人ともただいま。俺、約束守ったぞ♪」
馬から降り、愛紗と共に二人のところに向かう。
ヒナリ「おかえりなさいますです。ご主人さま♪」
トウカ「本当だよ!私、心配だったんだから!」
雛里は笑みで迎えてくれるのに対し、桃香は頬を膨らませながら、俺の胸を両手で叩く。
「ハハハ、悪い悪い。」
アイシャ「ご主人さま。」
「とと、こんなことしてる場合じゃない。雛里、君は部隊の先導とその指揮を。愛紗、君は鈴々の後方で後退の補佐。桃香は本陣を指揮して!」
ヒナリ「はい!」
トウカ「りょうか~い♪」
アイシャ「御意です。ご主人さま、どうかご無事で。桃香さまもお気をつけて。では!」
会釈をしたあと、愛紗は馬に跨がり、後方へと戻っていった。
最初のコメントを投稿しよう!