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俺は閉じていた瞼をゆっくりと開けていった。
すると、自分の顔を覗きこむようにして見ている子供と思われる女の子と目が合った。
リンリン「あ、起きたよ~。おはようお兄ちゃん。」
「……………………誰?」
――――――――――――――
少年は今自分が置かれている状況を整理しようと、胡座で地面に座り思考をしていた。
「俺は今さっきまで部屋にいて、扇風機にあたりながらベッドで寝ていた。うん、これは記憶があるから間違いない。
んで、今俺がいるここはどこだ?目が覚めたら違うとこにいるとか恐すぎだろ。しかも、外って何だよ、外って、普通屋内だろ。いやそもそも連れ去られること事態イレギュラーだろ。ブツブツブツ…………」
俺が目を覚まして直ぐに一人ブツブツと独り言を話す様子を、三人の少女たちは見ていた。
トウカ「あの人どうしたのかな?さっきからあぁしてるけど。」
リンリン「アハハ♪あのお兄ちゃん面白いのだ。」
アイシャ「まだあの者の素性が知れないのです。むやみに近寄ってはなりませんよ。」
三人の少女たちが自分のことを話しているとは知らずに、俺は思考を続ける。
とそこに、
トウカ「あのぉ~、大丈夫ですかぁ?」
一人の少女が、おずおずとした様子で心配そうな表情をしながら俺の肩をつつき、顔を覗きこんできた。それに合わせて後ろからは、桃香さま!などという声がした。
「えっ………」
少女のその大きく、まっすぐで吸い込まれそうになる瞳に見入りながら、俺は立ち上がり、たどたどしく少女に礼を返す。
「だ、大丈夫大丈夫!心配してくれてありがとね」
トウカ「良かったぁ~♪」
「ありがと。……えと、つかぬ事を聞きますが……」
トウカ「はい?」
「ここは………どこ?」
俺のその質問に、何を聞いているんだこの人は。というような顔をする少女。
「部屋のベッドで寝てたはずなんだけど………目が覚めたらここにいたんだよね」
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