二章 黄巾の乱

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トウカ「皆が仲良く、平和に暮らしてたら戦いなんて、起きないんだろうなぁ~」 桃香が漏らした独り言を聞きながら、蒼い空にゆっくりと流れる雲を見る。 戦いが起こらない。そんな事があり得ない事は、元の世界でもわかっていることだ。 人は知恵があり、欲がある。だから、何時の時代も欲が絡み合い、戦争が起こる。 そんな事を考えながら、もう一度欠伸をしようとした俺の口は、何か固い物を入れられたことにより、噎せかってしまった。 「ゴホッ…ガハッ……な、何だ…」 ?「これは失礼。余りに大きな口なので、少し悪戯をしてみたくなりましてな♪」 と、声が頭上から降ってきた。 トウカ「あぁ~!星ちゃんだ!」 セイ「桃香殿、久方ぶりです。それと光樹殿も。」 妖艶な笑みを湛え、趙雲子龍がそこにいた。 ―――――――――――――― 星が突然ここにやって来たのには驚いたが、直ぐに玉座の間に通し、愛紗、鈴々、朱里、雛里を呼び、来訪の目的を聞いてみた。 星曰く、黄巾党の乱が収束に向かいだした頃に白蓮に暇を貰い、大陸各地を放浪したのだそうだ。 自分の剣を預ける人物を探す旅。その旅の途中に曹操、孫策の二つの陣営に心惹かれたが、そこでは自分の武を活躍させる事が出来ない、という事だった。 そこで、俺たちのところに来たってのは驚いたが、三国志の蜀には趙雲がいたなぁと思いだし、直ぐに切り替えた。 「星、君の力俺たちに貸してくれ。」 セイ「この趙子龍、承りました。」 星が頭を下げ、そう言うと桃香が星の手を取り、鈴々がその周りをぐるぐると回り、愛紗は期待の籠った目を向ける。 それの一つ一つに対応している星を見ると、蜀にメンバーが揃いつつあるなぁと思う。 朱里と雛里は、あわわはわわ言いながら自己紹介している。 何はともあれ、俺たちは趙子龍という女の子を仲間に加えたのだった。
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